関連情報 平成29年8月15日

 

各位

特定非営利活動法人千葉県市民農園協会

理事長  廻谷 義治

(『農』の機能発揮支援アドバイサー) 

(日本市民農園連合会長)

 

『農』の機能発揮支援アドバイサー派遣事業制度の活用について

 

 農林水産省は都市農業振興基本法を定め、一般財団法人都市農地活用支援センターをとおして、『農』の機能発揮支援アドバイサー派遣事業制度を実施しております。

この事業は、昨年度まで4年間続けてきた『農』のある暮らし推進事業を引き継いでいるものであります。

 本協会はこの事業の関係協力団体として、理事長がアドバイサーとして登録されております。

 また、市民農園マスターの方々をアドバイサーに準ずる専門家として、この事業の講師にお願いしております。

 

 この事業の4年間のアドバイサー派遣実績は、平成25年度49件、26年度125件、27年度213件、28年度220件となっております。

その中で、28年度220件のうち市民農園は8件にとどまり、都市農地活用支援センターから派遣要請の掘り起こしを依頼されました。

 

 本協会に派遣依頼がありました実績は、平成25年度に島根県松江市(人材養成勉強会)、鹿児島県日置市(地域活性化シンポジウム)、埼玉県戸田市(市民農園野菜作り講習会)、26年度は、茨城県水戸市(市民農園の開設・管理・運営研修会)、埼玉県川越市(農のある暮らしづくりフォーラム)、埼玉県戸田市(市民農園野菜作り講習会)、27年度は、大阪府高石市2か所(市民農園栽培講習会)、埼玉県戸田市(市民農園野菜作り講習会)、28年度は、山口県山口市(市民農園の開設手法)、兵庫県神戸市(市民農園の開設・管理・運営等)、埼玉県戸田市(市民農園野菜作り講習会)、長野県佐久市(遊休農地解消と地域活性化)の13回です。

 

 主催者は、団体・市役所、県庁等さまざまであり、大学の地域対策プロジェクトもありました。テーマも開催方法も上記のとおり多様であります。ただ、千葉県内からは派遣要請がありませんでした。それで千葉県市民農園協会が、研究会開催の中で、日本園芸福祉普及協会事務局長(福祉と市民農園)と宮城県在住の市民農園マスター(地方都市における市民農園の開設)の2件をお願いしました。これを合わせて年平均4件程度です。

 

 私どもは、都市農地活用支援センターが求めているように、市民農園関連でもっと多くの講師派遣申請が出てほしいと願っております。なお、食育・地域交流やイベント、福祉関係での講師派遣が多く、申請受付期間が3月上旬までとなっているにもかかわらず、年末までには枠を超える申請が出てくるようです。つきましては3月上旬開催予定の計画でありましても、早くから計画をお立ていただき、申請を早く行われることをお勧めいたします。

 

 この事業を、なぜ市民農園関係でより多く活用していただきたいかについて申し上げさせていただきます。

 まず、『農』の機能発揮支援を都市農業対策で行う究極の目的は、国民の大半、特に都市地域の多くの人々が農の持つ様々な機能と役割を理解し、重視し、その結果として食料自給率をより高くしていくことであると思います。

 実は先月、農林水産省の最新のポケット農林水産統計を政府刊行物センターで買い求め、各国の食料自給率を調べてみました。それによると、イギリスは72%、オランダが66%、スイスでも56%、ドイツは92%、フランスが129%となっておりました。そして我が国では、8月10日の新聞によれば、食料自給率が38%に低下したと報じられていました。また、これらの国の国民が市民農園を利用する割合は、市民農園国際組織のデータから読み取ると、数値の桁が日本より1~2桁は高くなっています。

 

 日本では、1969年の新しい都市計画法制定により都市農地の線引きが始まり、神奈川県及び千葉県は、従来の都市近郊農業という概念に加えて都市農業という概念を固め、その政策を組み始めました。そして千葉県では農林省農業総合研究所に「都市農業の実態」の調査を委託し、都市農業対策基本要綱を定め、施策事例として市民農園を取り込みました。その後千葉県は、東京都のシビルミニマムを参考にして、“千葉県のアグリミニマム”(千葉県における確保すべき農林業の最低限基準)を発表し、農林業が有する社会的な機能と役割を発表しています。古い話で恐縮ですが、それ以降、食料の安定供給、環境の保全、コミュニティの形成、教育、健康と福祉、等の社会的な機能と役割が常に同じように語られてきております。農家と市民が協働して開設する市民農園は、市民が耕す農地空間の上でこれらの機能と役割を体感し普及させていくものです。

 

 市民農園の発祥の地ヨーロッパでは、“人は耕す事を求める”として、“「都市」には市民農園がなければならない”といわれ、長い歴史を持ち、市民生活の中に定着しています。その結果のように、市民は農の存在を当然のこととし、都市と農村の差別感は無いように感じられます。そして、各国の食料自給率は、先に述べた通り高い水準にあります。

 

 どうか、多くの方々がこの“『農』の機能発揮支援アドバイサー派遣事業制度”を積極的に活用してくださるようにお願いいたします。

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『農」の機能発揮支援アドバイサー派遣事業制度の活用について(千葉県協会より各位へ
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関連情報

 

食と農の応援団

http://www.ruralnet.or.jp/ouen/index.html