産業革命時の英国において、貧窮住民の食糧自給を目的に誕生したといわれる
アロットメント・ガーデンは、欧州諸国に伝播し、社会変化に伴う都市住民の生
活を潤し発展してきました。我が国においては、分区農園として大正後期に導入
され、その後第二次世界大戦により途絶えましたが、都市住民の自然発生的な求
めが行政を動かし、昭和の終わりから市民農園として制度化・事業化が図られて
きました。
良好に管理され運営される市民農園は、実践を通して「食」と「農」を理解す
る場であり、その存在は農業を活性化させます。それは、人々が集いコミュニテ
ィを形成する場であります。都市においては、耕す空間を維持することにより優
れた環境機能を発揮し、農山村においては人の流れをつくり、地域の活性化を促
しています。それは、市民農園用地を所有する者と市民農園を利用する者が、厚
い信頼関係で築くパートナーシップにより維持発展するのです。
私たちは、このような市民農園が持続可能な都市の実現と、地域を活性化し地
球環境の保全や生物多様性の確保を図る効果を有するとの認識に立ち、市民農園
の安定的な発展と運営ノウハウの共有化を求めていきます。そして、個々の市民
農園の組織化と市民農園活動のネットワーク化を進めるための共通理念として、
ここに市民農園憲章を定めます。
1 市民農園は、人々の心と地域を耕すことができます。
1 市民農園は、土地所有者と利用者の協働により育まれます。
1 市民農園の小さな区画は、地球環境や全世界の農園仲間とつながっています。
1 市民農園の普及・発展のため、一人ひとりが行動すると共に、連携を図りま
す。
1 戦後に生まれた我が国の市民農園を、良い形で後世に継承するため皆で努力
します。
2007年10月15日
フォーラム「市民農園の新しい動きを読む」参加者一同